○高音域に強い！

 人の耳が聞こえるのは、20～20,000ヘルツほどですが、猫は、25～75,000ヘルツ（最大で10万ヘルツ）と、特に高音域の感度が非常に高いです。犬でも人の2倍ほどなので、猫は4倍ほど高音が聞こえることになります。ただし、500ヘルツほどの低音の場合は、人と猫の聞こえ方に大きな差はありません。

○高音域に強い理由

 猫が特に高音域に敏感な理由は、ネズミなどのげっ歯類を捕らえるためです。げっ歯類の足音や鳴き声、仲間同士が超音波で通信し合う音までキャッチできるほど敏感です。
そのため、玄関先の来客や少しの物音にも、人はもちろん、犬よりも先に気づきます。

○音のする位置も分かる！

 猫は高音に敏感なだけでなく、その音源の位置まで正確に捉えることができます。その理由は、猫は音のする方に耳を傾けることで、音の高低や奥行きの他、跳ね返り方により距離まで知ることができるためです。音源の向きについて、人は4.5度ほど、犬で2.3度ほどの誤差がありますが、猫は0.5度以下と、ほぼ正確です。猫が部屋に入ってきた小さな虫の位置を捉えられるのは、視覚によるものではなく、羽音から距離や方角が分かるためで、見失うこともありません。

○両耳を自由に動かせる

 猫の両耳は27個の筋肉から成り、自由に動かすことができるため、別々の方向に向けるのもお手の物です。耳を180度回転させることもできるため、異なる方向の音源を聞き分けることも可能です。

○耳による感情表現

 猫の耳は、音を聞く他、感情を表現する働きもあります。耳を普通に立てているのは、リラックスしている状態で、耳の穴は前方のやや外寄りを向いています。耳がピンッと立っているのは、音を頼りに何かに集中している時です。さらに耳が前方に向き立っている場合は、激しく緊張している、または警戒態勢で攻撃的になっている時です。

 耳を後ろに寝かせている時は、不安や疑いを感じているサインであり、頭にはりつくほど倒れている場合は、恐怖や怒りを感じています。その他、ピクッピクッと神経質に耳を動かす時は、ストレスを感じている、または欲求不満でイライラしていることが多いです。

○猫は女性の声が好き？

 猫は男性よりも女性になつきやすいとも言われますが、その根拠とされるのが、女性の声の高さです。猫は高音に敏感なため、声の低い男性よりも女性の声の方が聞き取りやすく、心地がよいのかもしれません。

 猫は人の何倍も耳が良く、高音にも敏感なため、大きな音はストレスに感じやすいです。鈴をつける時は、大きな音がするものや重いものは避け、室内飼いにする、一緒に遊ぶ、高い所を用意するなど、ストレスを溜めないように気をつけましょう。